九種類の立体駐車設備はどの地域に適しているか?

中国の駐車設備業界は20年以上の発展を経て、すでに9種類の立体駐車設備に関する国家または業界基準が確立されている。では、これら9種類の設備はそれぞれどのような地域や敷地に適しているのだろうか。立体駐車設備の専門家の見解を紹介する。

中国各地において、機関や企業の事務所、住宅団地などでは、時代によって駐車問題が多様に存在しているが、駐車状況を総括すると、主に以下の7つのケースに分類される。それぞれに対応した適切な立体駐車設備があるので、以下に解説する。

1. 屋外公共駐車場の駐車台数を倍増させるための立体駐車設備(9種類すべて適用可能)

屋外公共駐車場の台数を増やしたい場合、9種類の立体駐車設備すべてに適用可能性がある。

  • 遮蔽物がない場合:地上スペースを活用する昇降横移式(PSH)、垂直循環式(PCX)、垂直昇降式(PCS)が適している。最も一般的なのは昇降横移式(PSH)で、2列、3列など敷地に応じて柔軟に構成可能。現在国内では15層のPSH駐車場も存在する。

  • 高さ制限がない場合:より多くの台数を収容可能な垂直昇降式(PCS)が選ばれることが多い。国内では50層、高さ100mに達する例もある。

  • 遮蔽物や騒音を避けたい場合:地下空間を活用する簡易昇降式(PJS)、通路スタッカー式(PXD)、平面移動式(PPY)などが主流。

また、限られた敷地や低頻度利用に適する水平循環式(PSX)や多層循環式(PDX)もあるが、コストやエネルギー効率の観点から普及率は低い。

2. 既存の地下駐車場の改修による車位増設(昇降横移式が適用可能)

地下にスロープで車を乗り入れるタイプの駐車場は、天井高が3.6m以上(最低3.3m)あれば、2層の昇降横移式設備を導入して駐車台数を倍以上にできる。天井高が足りない場合は1層の平移式で1.3~2倍程度増設可能。

3. 歩道空間を活用する立体駐車設備(倉庫型または簡易昇降式が適用可能)

団地内など5m未満の歩行者通路は、地下を掘って倉庫型設備を設置し、出口を1~2箇所にして歩道を確保する方法がある。簡易昇降式を使用し、歩道の一部を駐車設備に利用しつつ通路を残すこともある。

4. 通路両側の空間を利用した駐車位増設(倉庫型または側方駐車専用PSHが適用可能)

車道の下を掘って倉庫型設備を設置し、道路の本来機能を保つ方法や、幅が十分あれば側方駐車専用のPSH設備を使うのが経済的で柔軟性も高い。

5. 緑地を活用して駐車位を増設する立体駐車設備(倉庫型が適用可能)

都市部の緑地不足と車両増加の対策として、地下を掘り倉庫型設備を導入し、地表に3mの土を戻して緑地を復元する方法が一般的。北京の金融街などでも実例がある。

6. 共有道路両側の駐車位増設(側方駐車専用PSHが適用可能)

胡同や里弄などの道での側方駐車が暗黙的に許容されている地域では、PSH方式による2~3層の手動/自動設備で対応が可能。

7. 既存の機械式立体駐車場の改修(9種類の設備すべて適用可能)

10年以上前に導入された設備は老朽化や技術的課題があるが、元の敷地が立体駐車設備用であるため、現代的な設備に改修可能。第1項を参考に、敷地条件に応じたタイプを選定することが望ましい。

その他の特殊地域向けの立体駐車設備

幅3mや2.5m、長さ12m以上の敷地があれば、多層の設備を設置可能。高層ビルの側面、道路の端、地下車庫の出入口上部などのデッドスペースを活用し、大幅に駐車台数を増やすことができる。


総括

現在、中国では駐車設備の種類が豊富で、さまざまな地域や地形の駐車問題を解決できる。駐車台数を大幅に増やすことを計画する際は、専門の立体駐車設備企業や技術者に相談し、最適な機種選定を行うことが重要である。


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