地下立体駐車場は、地上の立体駐車場に比べて建設コストが高くなる傾向があります。その主な理由は、土木工事・柱配置・電気設備・消防設計など、さまざまな機能要件に制約があるためです。以下では、地下立体駐車場を建設する際に考慮すべきポイントについてご紹介します。

1．土木工事

地下空間では、立体駐車設備および車両の荷重に耐える必要があるため、構造設計では静的荷重への対応が求められます。さらに、駐車設備の昇降や横移動の動きにより発生する動的荷重も考慮しなければなりません。

2．構造柱の配置（柱スパン）

柱の配置は、駐車方式や設備の技術的要件に適合するように設計する必要があります。地下空間を最大限に活用し、各駐車ユニットの台数を柔軟に設定することが求められます。また、柱のスパンはできるだけ統一し、他の構造部分とも整合性を持たせることが重要です。

3．電気設備

地下立体駐車場には、専用の電源を確保する必要があります。電源容量は駐車場の総消費電力を上回るように設計され、可能であれば二重電源（デュアル電源）を採用することが望ましいです。もし単一電源を使用する場合には、予備電源の設置が必須です。二つの電源または二つの供給ラインは、自動切替装置を備える必要があります。また、配電盤の設置位置は、将来的な保守点検の利便性も考慮して選定すべきです。さらに、消防用電源は動力・照明など一般電源とは別系統で設置する必要があります。

4．消防設備

火災検知装置の設置： 火災検知システムの反応速度を高めるために、各車両の前後に温度感知器と煙感知器を設置することが望ましいです。条件が許せば、吸気型煙検知器の導入も検討すべきです。
防火区画の設計： 立体駐車設備は駐車台数が多く密度も高いため、消防設計においては防火区画を適切に増やす必要があります。耐火性能の向上も重要です。特に昇降横行式タイプの設備を採用する場合、50台ごとに防火壁または防火仕切りを設置するのが理想です。

5．換気設備

有害ガスや可燃性ガスの滞留を防ぐため、地下駐車場には機械式換気システムの導入が必要です。換気回数は1時間あたり6回以上が望ましく、換気ダクトには不燃材料を使用するべきです。また、人の出入りや滞在を想定した設計が求められます。

まとめ

高品質な地下立体駐車場の建設は、単なる設備導入以上に複雑です。どれだけ多くの機能エリアを設けたとしても、安全性は常に最優先に考慮すべき核心要素であると言えるでしょう。